米FTC、Microsoftのゲーム大手買収差し止めで控訴へ
【シリコンバレー=渡辺直樹】米連邦取引委員会(FTC)は12日、米マイクロソフトによる米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードの買収の仮差し止めを求めていた裁判で、上級審にあたる控訴裁判所に控訴すると発表した。11日に米サンフランシスコの連邦地方裁判所がFTCの申し立てを棄却していた。買収阻止に向け全面的に争う構えだ。
マイクロソフトの大型買収が成立するには、米国のFTCと英国の競争・市場庁(CMA)の2つがハードルとして残っている。FTCの控訴により、審議は決着に向け大きな山場を迎える。
買収を承認しないと発表していた英規制当局は態度を軟化させており、マイクロソフトと訴訟手続きを一時停止することで合意した。英国では買収スキームの見直しにより、一転、認められる可能性も出てきた。
買収契約の期限は18日に迫っており、審議が長引くとマイクロソフトとアクティビジョンは契約条件を更新する必要に迫られる。
マイクロソフトは2022年1月、「コール・オブ・デューティ」などの人気ゲームを手がけるアクティビジョンを、687億ドル(発表時のレートで約8兆円)で買収すると発表した。各国の独禁当局の承認プロセスが長引き、約1年半が経過した。
リナ・カーン委員長が率いるFTCは特に巨大テック企業の買収による寡占を問題視してきた。マイクロソフトを巡るFTCの裁判は、大企業による買収戦略の判断に大きな影響を与えそうだ。
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